心臓カテーテルからちょうど2週間後。
処置の傷跡を見てもらうのとEKG(心電図)の結果を聞きに病院へ行った。
カテーテルは、採血の針より少し太いぐらいの管を股関節から心臓へ入れる。
場所が場所なだけに、再出血しやすいんだそう。
若丸くんは片方が入らなかったので、両方の股関節に青あざをつくって処置から戻ってきたけれど、入院中もその後も再出血はなかった。
青あざも3日ほどで消え、どこに針をさしたかもわからなくなっていた。
先生も「どこにさしたかわからんね。スイミングおっけい。」
と言ってくれた。
そして心臓カテーテルの詳しい結果は、とてもいいものだった。
大動脈、肺動脈とも形も大きさも問題なし。
数値もほぼ正常。
狭窄も見られない。
もともとうしろについてしまっていた肺動脈を、付け替える際に前へ引っ張ってきているので、少し動脈が細くなり、その分血液の流れが速くなっていたのだそう。
それは、TGAの手術をしたあとにはよく見られることで、速さも問題ないとは言われていた。
今回のカテーテルで、それがほぼ正常値だと確認された。
入院中に心配だったEKGも鎮静剤の影響を受けていただけだそうで、丸1日記録したデータを見たところ何も問題がないんだそう。
ベルリンの先生、うまく手術してくれたね、と先生は言っていた。
診察室を出て、主人と座り込んだ。
手術後1年以上が経過しても、付け替えられた動脈がきちんと心臓を動かし、体に酸素を送ってくれている。
それを知り、ようやく長い長い旅が終わった気がした。
大手術から1年と4ヶ月。
心疾患がわかった日から1年と10ヶ月。
あのときはどうなるかと思った。
膨らむお腹を抱えて、不安と恐怖でいっぱいだった。
生まれたての小さなからだにつながれたたくさんの管と、大きな胸の傷を見ることしかできない日々は、本当につらく、大変だった。
だから、今日は特別うれしい日となった。
よかったね。終わったね。長かったね…
元気な若丸くんを真ん中に、夫婦でよろこびをかみしめた。