そして迎えたカテーテル当日。
若丸くんは朝から何も食べれず、指定された時間に指定された量の水だけ飲めた。
そして泣いて暴れないように鎮静剤を入れられ、ふらふらする息子を抱きながら、
「がんばれ。もうすぐ終わるよ。もう半分来たからね。」
としか言えない母。
言われた時間きっちりに手術室に連れていかれた。
さすが、日本。
手術室に入っていく前のばいばいはこれで3回目。
本人は眠りかけていたけど、腕に点滴が入り、機械に囲まれて横になっている息子を見るのはつらかった。
1年前、ベルリンの心臓センターで手術室に入っていったときのことを思い出した。
看護婦さんに「家族待合で待っていてください。」と言われ、その間に売店でパンとコーヒーを買って持ってくと「処置が終わるまでこの待合からは1歩も出ないでください」と怒られ、食事禁止です、と言われた。
がーん、朝から飲まず食わずなのに…
先に言っといてよね、そういうことは。
そして1時間半ほど過ぎたころ、主治医の先生がやってきた。
カテの写真、造影剤を動脈に通す動画を見せてくれ、特に問題がないことを教えてくれた。
ただ、入院初日に行ったEKG(心電図)で少し心臓の動きがゆっくりな部分があるので、退院するまでずっと測ってみます、と言われた。
おそらく鎮静剤の影響だろうから心配することはないけれど、念の為、と。
はぁ…そうですか…
まぁでもとにかく無事カテーテルは終わったし、動脈にも問題がなかった。
それから麻酔が覚めるまで更に1時間ほど待ち、ようやく若丸くんと再会できたのはお昼前。
会った瞬間は寝てたけど、すぐにぱちっと目が開いた。
よく頑張ったね、もう終わったよ、何も問題ないって。
よかったね。
もうすぐおうち帰れるよ。
そして部屋に戻ったものの、カテーテルの管を股関節から刺してるので、出血しないよう板のようなもので両足固定され、身動きとれないようにされていた。
「3時間ほど動けません。」
えーかわいそうに…
1歳児にベッドの上でじっとしておけなんて無理過ぎる…
まだ麻酔のせいでとろりとしていたけれど、固定された板ごと足を動かし、先生に「おぉ〜!」と言われてた。笑
しばらくするとまた寝た。
あたしはその間にやっと食にありつけた。
3つ目のお弁当。
いよいよ飽きるよね、冷たいお弁当。
3時間ぐっすり眠った息子。
出血もしてないとのことで、ベッドから出ることができた。
いすに座ってさっそくおやつの蒸しパンをほおばり、うれしそう。
いや〜元気でなにより。
それにしてもこんなすぐに動いて食べれるのね、と感心したほど。
手には万が一のための点滴の先っぽ、胸にはEKGのステッカー、腰にはEKGのモニター、そして血圧と血中酸素濃度をはかるモニターが入ったポシェットを肩からさげ、いろいろと窮屈そうだったけど、なんのその。
海外スクリーニングが陰性で戻ってきたので、晴れて病室から外に出してもらえ、廊下をうろうろうろうろ。
晩御飯の「鬼プレート」を完食し、病院で過ごす最後の夜がやってきた。
節分の夜。
この病棟は小さい子供用だそうで、8時に消灯する。
若丸くんもいろんな管に邪魔されながらもよく寝てくれた。
強いな、息子。
鬼は外、福は内にきたね。