この1年を振り返ってみよう、と。
ノンアルビールを片手に、写真を繰った。
若丸くんが生まれて1年。
人生が変わった。
自分のからだは自分だけのものではなくなった。
お腹はぶよぶよ、胸はぱんぱん。
自分の時間はこどものための時間。
こどもが起きれば起き、寝れば次に起きたときの準備をする。
泣けば抱き、笑えば抱いた。
いっそ、自分の欲望がなくなればどれだけ楽だろうと思った。
自分は寝なくていい、食べなくていい。
そうなれば少しでもこどものために時間ができるのに、と思った。
自分の世話をする時間が邪魔で仕方なかった。
でも、母が健康でなければいけない。
母が元気でなければいけない。
それがこどもを育てる最初の責任だと思った。
寝不足が続けば疲れて遊んであげられない。
栄養をとらなければお腹いっぱいおっぱいをあげられない。
痛いところがあれば抱いてあげられない。
だから寝れるときに寝て、一生懸命食べた。
とにかく自分が元気でいなきゃいけない、と思っていた。
自分のためではなく、こどものために。
わたしの人生の真ん中に立つのは自分ではなくなった。
休憩なんてなかった。
慌ただしく日々は過ぎた。
記憶なんてあいまい。
それでも、この1年がこれまでの人生で最も幸せな1年だった。
こどもがくれるもの。
それは、人生の何ものにも代え難い、かけがえのないものだと、いま思う。
熱いものは熱いうちに食べられないし、食べ物の一番美味しいところは食べれない。
でもそれが幸せのかたち。
さきっぽのないスイカのように。
それがわたしの1年。