主人の転職が決まり、日本への本帰国が決まった。
アメリカに本社がある会社の東京勤務になった。
日本に引っ越すための費用なんかを会社が負担してくれる「引っ越しパッケージ」に日本語レッスンがついており、主人はさっそくオンラインで受講し始めた。
初回の昨日は初歩の初歩。
「○○は○○です。」
という構文。
「ぼくわぁ〜オランダ人です!」
「つまちゃんは?」
「つまちゃんわぁ〜日本人です!」
「若丸くんは?」
「若丸くんわぁ〜日本人とぉオランダ人!」
そんな時を同じくして若丸くんのオランダパスポートが出来上がってきた。
こうして無事ヨーロッパを発つ前に両国籍の証明書を所持できることになった。
若丸くんはオランダ人の父と日本人の母をもつハーフとして生まれてきた。
そしてこれから日本で育っていく。
違う国籍の親を持つ子供は生まれながらにして恵まれていることが多い、とあたし個人的には思う。
2つの異なる文化に接しながら育つことによって、多様性を持って生きていける。
「普通はこうするから」「みんなああしてるから」ではなく、いろいろな考え方や生き方があっていいんだということを理解しておくことはとても大事だと思うから。
言葉に関してはとても恵まれていると思う。
より多くの言葉を不自由なく使えるのは、やっぱり国際社会を生きていくうえで強みになると思うから。
その反面、どうしてもアイデンティティの壁にぶち当たる。
シングルナショナリティにとっては縁のない、ハーフとして生まれた子供なら必ず人生のどこかでぶつかる壁。
それを乗り越えがたい壁と捉えるのか、乗り越えるとより広い世界が見える壁と捉えるのか。
見た目が違う。
父の名前がまわりの子と違う。
そんなことが若丸くんにとってつらいと思う日が来るかもしれない。
そうなったとき、あたしは母として若丸くんに何を言ってあげられるだろう。
モノカルチャーの日本で「人と違ってもいい」ということ、
ものごとは「これが普通」「それは変」ではなく、育つ環境による「違い」なのだということ、
ユニークな環境に生まれ育ったことを武器にかえて生きていってほしい、ということ。
そしてオランダ人と日本人であることを誇りに思ってほしい。
どちらのルーツも守っていってほしい。
そんなことを考えていた。
隣で本を読む声が聞こえる。
「つまちゃん、サントスさんわぁ〜ブタジル人です!」
「ブタジルジン?豚汁人? なんかおいしそうな人やね笑。」
がんばれ、主人!
息子が見てるよ!