出産後2日目の朝、ドクターがやってきて、手術は明日に予定されたこと、小児心臓外科からドクターが説明に来ることを教えてくれた。
若丸くんが生まれた病院は隣に心臓センターが併設されており、この心臓センターはヨーロッパ中から患者が集まってくるヨーロッパ屈指の病院なんです。
だから若丸くんもここで生まれることになったんだけども。
そして午後、心臓センターから小児心臓病理学の先生、小児麻酔科医、小児心臓外科医の先生が次から次へやってきて、明日の手術について説明してくれた。
何を言われようが「やっぱやめときます〜」なんて選択肢のないあたしたちは必死に説明を聞き、質問をした。
生後48時間しか経っていない息子を手術台へ送り出す親にとっては、それしかできないことが悔しく、不安でいたたまれなかった。
若丸くんはTGAといって、大動脈と肺動脈が入れ替わって生まれてきた。
そして両心室の間に穴があいており(VSD)、さらに両心房の間にも穴があいている(ASD)。
ASDに関しては、結構開いたまま生まれてくる人は多いらしく、特に症状もないのでそのまま成長し、歳をとってから開いてることに気づくこともあるんだそう。
ドクターも「ASDはノープロブレム」と手を振っていた。
若丸くんはVSDが大きいおかげで2本の動脈の血が十分に混じり合うため、チアノーゼもなく、なんなら血中酸素濃度が95〜98ぐらいと健康優良児とほぼ同じくらい十分な酸素が体へ送りだされていた。
3500gを越えて生まれてきたため、見た目にはとても心臓に欠陥があるなんて思えないほど健康で、ドクターたちも驚いていた。
でもやっぱり動脈が入れ替わっているのは治さないといけない。
こんなきれいな小さな体に傷をつけるということにとても悲しくなり、抵抗感をおぼえた。
そしていよいよ手術の朝を迎える。