生まれたその日から病室とNICUへの往復の毎日が始まった。
手術後の傷は麻酔がとれ始めてからズキズキと痛くなり、ベッドの上で体の向きを変えることも不可能だった。
ナースが来て、NICUまでベッドごと運んでくれ、若丸くんのベッドの隣にあたしのベッドが入り、NICUにいる間はずっと抱っこをしていた。
おっぱいをくわえさせると力強くすってくれる。
でもまだおっぱいは出ないので、若丸くんはおしっこが足りないと言われた。
そして出産したその日の夜中から搾乳の辛さを知ることになった。
ドイツでは母乳が特に重視されており、帝王切開で傷が痛もうが、起き上がれなかろうが、尿カテーテルがつながったままだろうが容赦ない。
ナースが夜中にやってきて、搾乳するよう指示される。
朦朧とする中、されるがまま、言われるがままに搾乳に挑戦するも出産後2日は数滴しか出なかった。
そしてその数滴をシリンジで吸い取り、若丸くんまで届けた。
NICUに行くたびにおしっこの量が足りない、ミルクがもっと必要と言われるが、でーへんもんはしゃーないやん!と心の中で叫び、とにかく痛みに耐えながら抱っこをして、出ないおっぱいを吸わせることに必死だった。
そうしてまだまだ出産後の抑揚感と傷の痛みと睡眠ほぼゼロのふわふわ生活が48時間続き、出産後2日目がやってきた。