母になった日のことを、初めて我が子に会ったあの瞬間のことを、表現できる言葉は見つからない。
最初は泣き声だった。
帝王切開だし、心疾患があるし、泣いてくれるかわからなかった。
でも元気に大きな声で泣いてくれた。
あ、生まれた…
そう思った瞬間だった。
目の前のカーテンがおろされ、初めて我が子と対面した。
ドクターに抱かれ、小さなからだをひねらせながら一生懸命泣いていた。
あぁ生まれてきてくれた…
可愛くて愛しくてもう胸がいっぱいになった。
あぁよかった、会えたよ…
涙が溢れた。
涙で息子の顔がにじんだ。
隣で涙を流す主人と一緒に言葉にできない喜びを分かち合った。
今思い出しても涙がこぼれるぐらい感動的な美しすぎる瞬間だった。
命を授かったとわかってから8ヵ月。
心疾患がわかってから半年。
元気な泣き声が聞こえ、
愛らしい姿を見た途端、
全身にのしかかっていた不安が一気に吹き飛ばされた。
命の誕生はこの世で最も美しいことだとわかった瞬間だった。
息子よ、
あたしたちの元に生まれてきてくれて本当にありがとう
一生懸命育ち、命を繋いでくれて本当にありがとう
今はただそれだけです。
あたしが母になったのは、9月の青空が澄み渡るよく晴れた日だった。