13週と3日。
「これが鼻ですよ」
7.6cmまで大きくなった赤ちゃんを3Dで見せてくれた。
超音波の技術はすごく、子宮の壁をきれいに消して赤ちゃんが丸まってる様子を見せてくれた。
頭の大きさ、足の大きさ、臓器が揃っているかなど細かく検査が行われ、力強く速く打つ心臓の音も聞かせてくれた。
時折うつる赤と青の固まり。
あぁ動脈と静脈なんかなと眺めてた。
検査が終わり、先生が「旦那さん外で待ってるんやね。ちょっと呼びましょうか。」と言った。
「え、なんでだろう。。」少し胸がざわついた。
主人がびっくりしたように部屋に入ってきて「大丈夫?!」と言った。
2人で先生の前に座り、先生はパソコンの画面を見せてくれ、
「ここに調べた数値がのってますけど、すべて正常です。必要な臓器もすべてあります。」
「ただ…心臓に欠陥があるようです。」
…え?
心臓に欠陥?
どういうこと?
この子は生まれてこれないということ?
生きられないということ?
それがほぼ自動的にあたしの頭を駆け巡った。
それでも一方で先生の説明を冷静に聞く自分がいた。
主人が手を握ってくれた。
「まだ心臓が小さすぎるので確定ではありません。ただ心臓が正常でないことは90%は確実です。TGAという心疾患だと思います。今の時点では私の勘ということになります。強い勘です。」
ここで初めて口を開いた。
「この赤ちゃんは生まれてこれないのですか。」
「いえいえ、確実に生まれてこれますよ。この心疾患はお母さんのお腹の中にいる間は何も問題ありません。生まれてから、生まれた瞬間からが赤ちゃんにとって問題なのです。すぐに手術が必要になります。でもこの手術は成功率が高く、手術後は普通の子どもと同じように成長し、大きな制限もなく普通の生活ができます。」
ふと主人を見ると震えてた。
あたしは震えることも泣くこともなく不思議なくらい落ち着いていたけど、なんだか貧血のように息ができなくなってきた。
先生が「ベッドで横になって。きっとストレスからでしょう。」と言ってくれた。
主人と先生の話が終わり、しばらく待つよう隣の部屋に案内された。
主人が抱きしめてくれた。
今にも泣きそうな目をしてた。
あたしは相変わらず不思議なほど落ち着いていて、涙も出なかった。
でもたった今聞いたニュースを飲み込めていなかったし、理解できていなかった。
頭が跳ね除けている感じがした。
主人は先生との話を訳しながら再度説明してくれたけど、なんか呆然としてしまってあんまり覚えてない。
先生が今日の内容をプリントしたもの、次のアポイントメントを書いたメモを持って戻ってきた。
病院を出て、彷徨うように2人で歩いた。
つづく